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大阪家庭裁判所 昭和49年(家)1361号 審判 1975年3月26日

申立人 宮沢康一(仮名)

相手方 宮沢トメ(仮名) 外六名

主文

I  被相続人宮沢耕三郎の遺産を次のとおり分割する。

(1)  別紙物件目録(1)記載土地中、別紙測量図面<1>部分の土地四六二・五三九八平方メートルは申立人宮沢耕一の取得とする。

(2)  同上目録(1)記載土地中別紙測量図面<2>部分の土地三三〇・六〇九四平方メートルは相手方宮沢広子の取得とする。

(3)  同上目録(1)記載土地中別紙測量図面<3><4>部分の土地三〇八・一二二五平方メートルは相手方宮沢正一郎の取得とする。

(4)  別紙物件目録(2)記載土地は、相手方宮沢トメが持分七分の五相手方平井久美子が七分の一、相手方関口亜希子が七分の一の持分割合による共有取得とする。

(5)  別紙物件目録(3)記載の家屋の所有権および同(4)記載土地の賃借耕作権は相手方宮沢正一郎の取得とする。

(6)  相手方宮沢トメは相手方岡村多美子に対して金五四四万五、六六六円を、相手方宮沢正一郎は相手方岡村多美子に対して金九三万三、〇五四円。同小田美由紀に対して金五二万五、七二三円を、申立人宮沢康一は相手方小田美由紀に対して金五七六万六、七五七円を、相手方宮沢広子は同小田美由紀に対して金八万六、二四〇円、同平井久美子に対して金七七万五、一四九円同関口亜希子に対して金七七万五、一四九円および上記各金員に対する本審判確定の日の翌日から完済に至るまで年五分の割合による金員を、それぞれ本審判確定の日から二年以内に支払え。

II  本件審判手続費用中、鑑定人森山高明に支給した金三〇万円はこれを八分し、その各一宛を当事者全員が各自負担し、その余の部分は各自の負担とする。

理由

当裁判所は、本件記録および本件関連事件(当庁昭和四八年((家イ))第三五九一号遺産分割調停事件)記録にあらわれている諸資料により、以下記述の各事実を認定し、その他諸般の事情を考慮して、次のとおり判断する。

第一被相続人

被相続人宮沢耕三郎(明治三〇年六月六日生)は、大阪府八尾市○○において、昭和四二年一月五日に死亡し、同日その相続が開始した。

第二相続人

亡宮沢耕三郎の相続人は、下記八名であり、被相続人は適式の遺言をしていないので、その相続分は、相手方宮沢トメは被相続人の配偶者として三分の一、申立人宮沢康一、相手方宮沢正一郎、相手方宮沢広子、相手方平井久美子、相手方関口亜希子、相手方小田美由紀および相手方岡村多美子の七名はいずれも被相続人の嫡出直系卑属として各三分の二の七分の一、即ち二一分の二宛である。

(一)  相手方宮沢トメ

昭和四年四月三〇日に被相続人と婚姻、被相続人との間に四男五女を出産(内男子二名は幼時に死亡。)し、現在(昭和二八年六月七日以降現在まで)は肩書住所(別紙物件目録(3)記載家屋)に居住し、相手方宮沢広子および申立人宮沢康一の収入により生計を樹てており、遺産中別紙物件目録(2)記載の田の取得を希望している。

(二)  相手方平井久美子

被相続人と相手方宮沢トメの長女として昭和四年五月九日に出生し、尋常高等小学校卒業後昭和三八年一一月一日平井一郎と婚姻し、同人との間に出生した一子と共に夫一郎の所有家屋に居住し、会社員である夫の収入月額金一〇万円で生計を樹て、被相続人の遺産に対しては、母である相手方宮沢トメの生計費として、実質的には同人に(形式的には共有として)取得させることを望んでいる。

(三)  相手方関口亜希子

被相続人と相手方宮沢トメ間の二女として昭和六年五月二五日に出生し、尋常高等小学校卒業後昭和三一年一〇月三一日関口信一と婚姻し、その間に一男二女を儲け、現在は夫所有の家屋に居住し、夫(会社員)の給料月額金一〇万二、〇〇〇円および貸ガレーヂからの月収金一〇万円で生計を樹て、被相続人の遺産については、母である相手方宮沢トメと、智能程度が通常人より低く、現在独身の妹である相手方宮沢広子に、自己の相続分を取得させることを望んでいる。

(四)  相手方宮沢正一郎

被相続人と相手方宮沢トメ間の長男として昭和九年一月二日に出生し、尋常高等小学校卒業後、被相続人経営の八百屋および園芸を手伝い、昭和三八年二月二三日現在の妻孝子と婚姻し、同女および養女明子と共に、別紙物件目録(3)記載家屋に居住し、同物件目録(1)・(2)および同(4)記載の土地を利用して園芸業を経営している。ところが、相手方宮沢正一郎は本件遺産分割について、他の相続人と抗争し、当庁、昭和四八年(家イ)第三五九一号遺産分割調停事件について開かれた調停期日(前後七回)および本件審判期日について呼出を受けながら一度も出頭しないが、昭和四九年一月七日当庁調査官大久保順子に対し、「別紙物件目録(1)記載の田はこれを三分し、その各一宛を相手方宮沢正一郎、同宮沢広子および申立人宮沢康一が取得し、別紙物件目録(2)記載の田は、名義は各相続人に分割する場合も一括して相手方宮沢正一郎が引き続いて使用し度い。」旨陳述している。

(五)  相手方小田美由紀

被相続人と相手方宮沢トメ間の三女として昭和一〇年一二月二一日に出生し、新制中学校を中退の後昭和三五年七月四日に小田実と婚姻するまで織物工場へ女工として勤務し、現在はビニール加工業を経営し、亡夫(昭和三七年四月一六日死亡)の父母および長女(一三歳)と共に亡夫の父名義の家屋に居住している。遺産相続については、母である相手方宮沢トメと智能程度が通常人より低い妹である相手方宮沢広子に、自己の相続分を含めて取得させることを希望している。

(六)  相手方宮沢広子

被相続人と相続人である相手方宮沢トメ間の四女として昭和一二年一〇月二四日に出生したが幼時の病気が原因で智能程度が低く、そのため学校へも行かず、現在独身で、母である宮沢トメと共に前記住所に居住し約五年前から、姉である相手方小田美由紀方へ手伝に行つて月収金三万円を得て生活している。

(七)  相手方岡村多美子

被相続人と相手方宮沢トメ間の五女として昭和二〇年四月一四日に出生し、新制中学校卒業後昭和四六年二月二二日に岡村誠一と婚姻するまで○○金属に勤務し、夫誠一との間に昭和四七年六月一一日長女昭子を儲け、現在夫の収入(月額約八万円)で親子三名の生計を樹て、文化住宅に居住しており、本件遺産については、自己の相続分は母である宮沢トメに取得せしめることを望んでいる。

(八)  申立人宮沢康一

被相続人と相手方宮沢トメ間の四男(二男高俊、三男秀則は幼時に死亡して、両名についてはその代襲相続人もない。)として昭和三三年四月一七日に出生し、私立○○高等学校普通科を卒業後、○○郵便局に勤務して月収約金七万円、年間賞与約四・八ヶ月分を得現在独身で昭和四九年一〇月二四日までは相手方宮沢トメと同居して生活していたが、同日以降肩書住所地に文化住宅を賃借して居住し、本件遺産については、生前の被相続人の言葉に従つて、別紙物件目録(1)記載田の北側を分割して取得することを望んでいる。

第三遺産の範囲

被相続人の遺産は別紙物件目録(1)ないし(3)記載の各物件の所有権および同(4)記載土地の借地権であり、その相続開始時である昭和四二年一月五日当時の評価は、

別紙物件目録(1)記載の土地所有権価格は金四二八万七、〇〇〇円

同(2)記載の土地所有権価格は金三六六万三、〇〇〇円

同(3)記載の家屋所有権価格は金二七一万五、〇〇〇円

同(4)記載の土地耕作権価格は金二一三万九、〇〇〇円

であることは不動産鑑定士中野英満の鑑定評価書によつて明らかであり同鑑定書による本件審判時期に近い昭和四九年一一月二五日当時の評価額は

同(1)記載土地所有権の価格が金二、九五〇万円

同(2)記載土地所有権の価格が金三、九二二万五、〇〇〇円

同(3)記載家屋所有権の価格が金一、一〇九万二、〇〇〇円

同(4)記載土地耕作権の価格が金三五五万二、〇〇〇円

であるところ、相続開始時から、分割審判時まで相当長期の時間が経過しており、最近の物価の急高騰の傾向から考えて、当事者の実質的公平を期するため、評価額については、特に分割審判の時期に近い時点の評価額を参考にして認定する。

なお別紙物件目録(4)記載土地は、前記(第二の((四))記載。)の如く、被相続人生存中から相手方宮沢正一郎が被相続人と共にこれを耕作し続けて現在に至つているもので、同土地の耕作権は同相手方の行為によつて現在引き続いて存在するもので、他の相続人には特に寄与した形跡がないので、これについては、相手方宮沢正一郎に寄与分として取得させるのを相当とし、特に本件遺産分割に際しては考慮の外におくこととする。

そうすると、本件遺産分割の対象となる遺産の評価額(昭和四九年一一月二五日当時)は、別紙物件目録(1)ないし(3)記載物件の所有権価額合計金七、九八一万七、〇〇〇円である。

第四各当事者の相続分の算定

(一)  特別受益

被相続人の子女中、申立人宮沢康一および相手方宮沢広子を除く、相手方正一郎、同平井久美子、同関口亜希子、同小田美由紀および同岡村多美子の五名は、内容は兎も角、一応当時の義務教育を受け、当時の被相続人の資力、社会的地位その他の事情を考え相当と思料される程度の費用をもつて婚姻させて貰つているので右五名の間においては特に特別受益について考慮するを要しない。又申立人宮沢康一は、被相続人の生存中に婚姻するに至らなかつた者であるが、同人のみが、唯一人私立高等学校普通科に通学卒業しているので、その間に要した入学金、学資その他の通学に必要な費用を支出して貰つたこととなるが、右金額は上記他の五名の姉兄の婚姻費用の支出による受益と同等と看做することができるので、申立人宮沢康一についても特に考慮の余地はない。そにで相手方宮沢広子の関係について見るに、同人は幼時の疾病の結果智能程度が低く、義務教育をも履修せず、かつ現在も独身の生活を送つているので、同人だけが、教育費も婚姻費用をも受け得なかつたこととなる。従つて、同人の関係について他の兄姉妹弟の受けた特別受益相当額を計算すると、申立人宮沢康一の高等学校入学金は金一〇万円、月謝は金四、五〇〇円で三年間の合計額は金一六万二、〇〇〇円となるところ、総理府統計局による消費者物価指数は、申立人宮沢康一の就学当時である昭和三九年を一〇〇とした場合、昭和四九年一二月当時の指数は二三六・五であるから、右学費を昭和四九年一二月当時の価額に換算すると、

(100,000円+162,000円)×2.265 = 593,430円

金五九万三、四三〇円となり、他の兄姉妹等の特別受益も右金額と大差ないものと考えられるので、遺産分割に当り、相手方宮沢広子の関係で右金額を考慮することとする。

(二)  分割

<1>  相手方宮沢トメ関係

被相続人の遺産中、分割の対象になる物件の評価額が、昭和四九年一一月二五日当時金七、九八一万七、〇〇〇円であることは前記(第三記載。)認定のとおりであるところ、別紙物件目録(1)記載の土地の当時の耕作権価額金四六二万二、〇〇〇円、同(2)記載の土地の当時の耕作権価額金六一四万五、〇〇〇円、同(3)記載の家屋の居住権価額金一四八万円(いずれも前記鑑定書による。)を上記遺産総評価額から控除すると、

79,817,000円-(4,622,000円+6,145,000円+1,480,000円) = 67,570,000円

金六、七五七万円となる。

右金額から、相手方宮沢広子のみが被相続人の生前特別受益を受け得なかつたこと前記(((一))記載。)のとおりであるから、右金五九万三、四三〇円を控除すると、

67,570,000円-593,430円 = 66,976,570円

金六、六九七万六、五七〇円となるところ、相手方宮沢トメの法定相続分は三分の一であるから。

66,976,570円÷3≒2,325,523円

金二、二三二万五、五二三円となる。

一方、別紙物件目録(3)記載の家屋には、相続開始当時、相手方宮沢トメ、同宮沢正一郎、同宮沢広子および申立人宮沢康一の各相続人ならびに相手方宮沢正一郎の妻と子一名の六名が居住していたものであるところ、右の居住者は本件遺産分割協議をめぐつて円満を欠くに至り、今後長期間に亘つて同人らが同一家屋に居住するのは困難な事情となつたものであるところ、その職業、社会的地位、家族構成その他諸般の事情を考慮すると、相手方宮沢正一郎に取得させるのが相当であり、相続開始時から現在までの状況から見て、相手方宮沢トメは右家屋を退去して占有部分を相手方宮沢正一郎に明け渡すのが相当であるから、右家屋に対する相手方宮沢トメの居住権価額金一四八万円(前記鑑定書による。)の六分の一に当る金額を前記の金額に加算すると、

22,325,523円+1,480,000円÷6≒22,572,189円

金二、二五七万二、一八九円となるところ、この金額は、相手方宮沢トメが取得することを希望する別紙物件目録(2)記載土地の評価額金三、九二二万五、〇〇〇円の七分の五に当る金二、八〇一万七、八五五円より金五四四万五、六六六円少額となる。

<2>  相手方宮沢正一郎関係

本件分割の対象となる遺産の総評価額が金六、六九七万六、五七〇円であることは前記(<1>記載。)のとおりであり、相手方宮沢正一郎の法定相続分は三分の二の七分の一に当る二一分の二であるから

66,976,570円×2/21 = 6,378,720円

金六三七万八、七二〇円となるところ、同人は、被相続人生存中から別紙物件目録(1)、(2)および同(4)記載の各土地を占有耕作して、現在もこれより生計を樹てていることは前記(第二の((四))記載。)のとおりであり、又、妻子と共に別紙物件目録(3)記載の家屋に居住していることも前同様認定のとおりであるところ、前記(第三記載。)により遺産分割の考慮から除外した別紙物件目録(4)記載の土地を除く同(1)記載の土地の耕作権価額金四六二万二、〇〇〇円、同(2)記載土地の耕作権価額金六一四万五、〇〇〇円、同(3)記載家屋の相手方宮沢正一郎および同人妻子の居住権の価額を加算すると、

6,378,720円+4,622,000円+6,145,000円+1,480,000円÷6×3 = 17,885,720円

金一、七八八万五、七二〇円となる。

そこで上記各認定の事実にその他諸般の事情を考慮して相手方宮沢正一郎に取得させるのを相当とする別紙物件目録(3)記載の家屋(評価額金一、一〇九万二、〇〇〇円)、同(1)記載の土地の南端部の土地(実測一、一〇一平方メートル中、三〇八・一二二五平方メートル、別紙測量図面<3>および<4>の土地評価額

29,500,000円×(308/1,101) ≒ 8,252,497円

金八二五万二、四九七円。)の合計額

11,092,000円+8,252,497円 = 19,344,497円

金一、九三四万四、四九七円と比較すると、

19,344,497円-17,885,720円 = 1,458,777円

金一四五万八、七七七円多額の取得となる。

<3>  申立人宮沢康一関係

本件遺産分割の対象となる遺産の総評価額が金六、六九七万六、五七〇円であることは前記(<1>記載。)のとおりであり、申立人宮沢康一の法定相続分は三分の二の七分の一に当る二一分の二であるから

66,976,570円×2/21 = 6,378,720円

金六三七万八、七二〇円となるところ、相続開始当時申立人宮沢康一は別紙物件目録(3)記載の家屋に居住していた(本件遺産分割審判の結果を予想して昭和四九年一〇月二四日頃右家屋から肩書住所に移転。)ので、右家屋を相手方宮沢正一郎に明け渡すこととなると、相手方宮沢トメ同様金二四万六、六六六円を取得する筋合であるから、この金額を前記金額に加算すると、

6,378,720円+246,666円 = 6,625,386円

金六六二万五、三八六円となる。

右金額は、申立人宮沢康一が取得することを希望する別紙物件目録(1)記載の土地の別紙測量図面中<1>部分の土地四六二・五三九八平方メートルの評価額

29,500,000円×(4,626/1,101) ≒ 12,392,143円

金一、二三九万二、一四三円と比較すると、

12,392,143円ー6,625,386円 = 5,766,757円

金五七六万六、七五七円多額の取得となる。

<4>  相手方宮沢広子関係

本件分割の対象となる遺産の総評価額が金六、六九七万六、五七〇円であることは前記(<1>記載。)のとおりであり、相手方宮沢広子の法定相続分は三分の二の七分の一に当る二一分の二であるから、

66,976,570円×2/21 = 6,378,720円

金六三七万八、七二〇円となるところ、相手方宮沢広子が別紙物件目録(3)記載の家屋の居住権評価額金二四万六、六六六円と、他の兄姉らが受けた特別受益相当額金五九万三、四三〇円とを取得すべきものであるから、これを加算すると、

6,378,720円+246,666円+593,430円 = 7,218,816円

金七二一万八、八一六円となる。

右金額は、他の姉妹の希望もあり、諸般の事情から考えて相手方宮沢広子に取得させるのを相当とする別紙物件目録(1)記載の土地の別紙測量図面中<2>部分の土地三三〇・六〇九四平方メートルの評価額

29,500,000円×(330.6/1,101)≒8,858,038円

金八八五万八、〇三八円と比較すると、

8,858,038円-7,218,816円 = 1,639,222円

金一六三万九、二二二円の多額取得となる。

<5>  相手方平井久美子、同関口亜希子、同小田美由紀および同岡村多美子関係

本件遺産分割の対象となる遺産の総評価額が金六、六九七万六、五七〇円であることは前記(<1>記載。)のとおりであり、同相手方らの法定相続分はいずれも三分の二の七分の一に当る二一分の二であるから、

66,976,570円×2/21 = 6,378,720円

金六三七万八、七二〇円である。

右金額は、別紙物件目録(2)記載の土地の評価額金三、九二二万五、〇〇〇円の七分の一に相当する

39,225,000円÷7≒5,603,571円

金五六〇万三、五七一円より

6,378,720円-5,603,571円 = 775,149円

金七七万五、一四九円多額である。

第五結論

以上認定事実により、結局、被相続人の本件遺産については、

(一)  相手方宮沢トメに対し、本件別紙物件目録(3)記載の家屋の退去明け渡しをさすことを前提に、別紙物件目録(2)記載の土地の七分の五の持分に相当する所有権を取得させ、同人の過剰取得分金五四四万五、六六六円は、相続人である相手方岡村多美子に相続代償金として支払わせる。

(二)  相手方宮沢正一郎に対し、別紙物件目録(1)記載の土地中、別紙測量図面<1>部分の土地を申立人宮沢康一に、同<2>部分の土地を相手方宮沢広子に、別紙物件目録(2)記載の土地を相手方宮沢トメ、同平井久美子、同関口亜希子にそれぞれ明け渡すことを前提に、同(3)記載の家屋所有権および同(4)記載の土地の賃借耕作権ならびに同(1)記載の土地中別紙測量図面<3>、<4>部分の土地所有権を取得させ、同人の取得過剰分金一四五万八、七七七円のうち金九三万三、〇五四円は相手方岡村多美子に残金五二万五、七二三円は、相手方小田美由紀に相続代償金としてそれぞれ支払わせる。

(三)  申立人宮沢康一に対し、別紙物件目録(3)記載の家屋を相手方宮沢正一郎に対し明け渡すことを前提に、同(1)記載の土地中別紙測量図面<1>部分の土地の所有権を取得させ、同人の取得過剰金五七六万六、七五七円は相手方小田美由紀に相続代償金として支払わせる。

(四)  相手方宮沢広子に対し、別紙物件目録(3)記載の家屋を相手方宮沢正一郎に対し明け渡すことを前提に、同(1)記載の土地中別紙測量図面<2>部分の土地の所有権を取得させ、同人の取所過剰金一六三万九、二二〇円のうち金八万六、二四二円は相手方小田美由紀に、内金七七万五、一四九円は相手方平井久美子、内金七七万五、一四九円は相手方関口亜希子(相手方宮沢広子の過剰取得は金一六三万九、二二二円で支払が金一六三万六、五四〇円であるから残金二、六八二円の差を生ずるが、これは別紙物件目録(1)記載土地の分割上生ずる誤差金額で少額であり、かつ、相手方宮沢広子の立場、身体的事情等を考えて、同人に取得させるのが最も公平と思料する。)にそれぞれ相続代償金として支払わせる。

(五)  相手方平井久美子、同関口亜希子に対し、それぞれ別紙物件目録(2)記載の土地の七分の一の持分に相当する所有権を取得させ、残余の各金七七万五、一四九円は前記((四)記載。)相手方宮沢広子からの代償金をもつてこれに充てる。

(六)  相手方小田美由紀に対しては、前記((二)、(三)、(四)記載。)のとおり、相手方宮沢正一郎からの金五二万五、七二三円、申立人宮沢康一からの金五七六万六、七五七円、相手方宮沢広子からの金八万六、二四〇円の代償金をもつて相続分に充当する。

(七)  相手方岡村多美子に対しては、前記((一)、(二)記載。)のとおり、相手方宮沢トメからの金五四四万五、六六六円、相手方宮沢正一郎からの金九三万三、〇五四円の代償金をもつて相続分に充当する。

なお相続不足分に対する代償金については、各相続人の各種の事情、金額等を考慮して、その支払を本審判確定の日から二年間猶予することとし、かつその間民法所定の年五分の割合による利息を附加せしめることとする。

よつて、審判費用中鑑定手数料については家事審判法第七条、非訟事件手続法第二六条、第二七条、第二九条、民訴法第九三条を適用して、主文のとおり審判する。

(家事審判官 鈴木清子)

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